Unreal Engine 5.6で追加された新機能「Shallow Water River」は、ゲーム内にリアルな浅瀬や川の水流を表現できる実験的機能です。
本記事では、プラグインの有効化から川の作成、インタラクションや浮遊物の実装、シミュレーションのベイクによる軽量化まで、初心者でもわかる手順で解説します。
RPGやオープンワールドゲームの環境表現に水辺を取り入れたい方は必見です。
1. Shallow Water Riverとは
Unreal Engine公式ドキュメント(Shallow Water River)
UE5.6で追加された実験的機能で、浅瀬や川の水流をリアルにシミュレートできます。キャラクターやオブジェクトとのインタラクションも可能で、自然な波紋や流れの再現が可能です。ウィッチャー4デモでも活用されています。

2. プラグインの有効化方法
- 「Edit」→「Plugins」を開く
- 「Water」を検索
- 下記にチェックを入れて有効化
- Water : 水の基本
- Water Advanced: 今回の新機能Shallow Waterを含む
- Buoyancy: 浮きものに必要
- UE5を再起動

3. コリジョン設定の修正
再起動後にエラーが出ます。
水流判定が正しく機能するよう、使用するオブジェクトのコリジョンプロファイルを修正します。


エンジン設定のINIファイルの自動修正は、再起動するまで反映されない場合があるので、プロジェクトを閉じて再起動しましょう。
4. 新規レベルでの川の作成
Landscapeツールで地形を作成し、川の通り道となる地形を整形します。

Shallow Water RiverはLandscapeの地面がある前提です。
5. Shallow Water Riverの追加と設定
- 「Water」で検索し、「Water Body River」を配置


川に自動的に土手が付くのが嫌な場合は詳細欄でAffect Landscapeのチェックを外すことでできます。あらかじめ作った地形に完全に合わせたい場合におすすめですが、その場合は後の手順での調整がやや難しくなります。
- 「Shallow Water River」を追加
- 紐づけ
- Shallow Water Riverの詳細欄で Water/Source River Water Bodies に要素追加しWater Body Riverを選択


川をSourceに追加すると自動的にSink側にも追加されます
接続できると水の色が変わります
6. シミュレーションの実行とベイク
Shallow Waterの詳細欄一番上にある「Reset」ボタンでリアルタイムシミュレーションを更新します。
下まで流れ落ちるまで待った後、「Bake」することで負荷を軽減できます。

Bake結果を使うモードに切り替える必要あり
(Render StateをBaked Simか、Water Component with Baked Simとします。後者でないとインタラクトできません)

Q「水を焼く」ってどういうこと?
A リアルタイムで計算しているシミュレーションを、一度計算して結果を固定化したデータとして保存することです。
つまり、毎回ゲームやシーンを再生するたびに計算し直すのではなく、「結果をあらかじめ作っておく」イメージです。
7. タグを使ったインタラクション設定
インタラクト可能なオブジェクトにActor Tagを付与し、水との接触判定を設定します。
- 水とぶつからせたいアクタのActor Tagに任意のタグ(swcollider など)をつけます
- Shallow Water の ContourTagに同じタグ名を設定します。
- Resetボタンでシミュレーションし直します
8. 浮遊物(オブジェクト)を川に流す方法
浮遊物となるメッシュに物理挙動を設定し、川の流れに合わせて動かします。
- 浮遊させたいメッシュにSimulate Physicsにチェックを付けます
- Water Body RiverのCollision設定を「Query and Probe」にし、「PhysicsBody」をブロックにチェックつけます


Customにして個別にその設定にするか、プロジェクト設定からWaterBodyCollision全般の設定を変えるかは状況次第で。
9. 表現を強化する調整テクニック
- 水深・川幅:WaterBody の DepthとRiver Width
- フチの角度:WaterBody の Terrain/Curve Ramp Width
- はみ出る水を除去する強さ:Shallow Water の Simulation/Remove Outside Spline Amount

Removeで強くカットすると不自然なので、地形や水深・川幅で決まる水量の調整や、7番の障害物などで調整しましょう
- 水の色:ShallowWaterRiver の Rendering の Baked Sim Material
エンジンコンテンツ内にあるマテリアルなので、プロジェクトのコンテンツ下にコピーして参照を置き換えてから編集しましょう


10. まとめ
Shallow Water Riverは、UE5.6でリアルな川や浅瀬を表現するための強力なツールです。
今回の手順を活用すれば、自然で臨場感のある水辺を短時間で実装できます。
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